最強伝説黒沢と左ききのエレンと何者にもなれない私
Kindle Unlimitedで原作版「左ききのエレン」を読んだ。リメイク版もあるらしいがそもそもこの作品自体を今まで知らなかった。最終巻の10巻まで夢中で読んだ。そして最終話で萎えた。久々にガックリというか熱が冷めるというか。もう一度最終巻を読み直してもやっぱり最終話で萎える。蛇足というかなんというか最終話が急に説教臭い。「天才になれなかった全ての人へ」から始まる10ページ以上の読者に問対する説教とも問い掛けともつかない文章が並ぶ。捻くれているのか私。
そこでふと思い出したのは「最強伝説黒沢」。似たようなテーマだが最終話まで全部通して名作だと思う(新の方は別だが)。最終巻を読み返してみた。
まず両作の主人公のスペックの差が顕著。どちらに自分を重ねやすいかという問題がある。エレンの方は天才になれなかったとは言え、基本スペックは高い。一方は友人も居ない孤独な中年男性である。ここで馬鹿みたいにダラダラコンテンツ消費して感想を書いている奴がどちらの主人公と当てはめて読めるかという話しだ。
次に、最終話の語りの違い。黒沢も最終話は語りが大半を占めるが、その語りは黒沢自身のモノローグとして描写されている。モノローグと言うべきか走馬灯と言うべきか、とにかく読者への問い掛けではなく黒沢のモノローグに終始して完結を迎える。自身に当てはめて読むかは読者に委ねられる部分。説教臭くなく、噛みしめるか否かは読者の気分次第。面として言われるのと自ら噛みしめるように読むのかという違いが私の中では非常に大きかった。
どちらもKindle Unlimitedで読める。個人的には黒沢を読んでもらいたいけど残念ながらUnlimited対象は3巻までだけど、天才どころか何者にもなれないと感じている人にはぜひ読んでほしい。
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