【ネタバレ】全てが胸糞な「僕たちがやりました」胸糞なまま完結

今年の夏にドラマ放送が予定されている、漫画「僕たちがやりました」が完結した。後味が悪い漫画好きな自分としては最高に面白かった。

この漫画を知らないけど、ウシジマくんのような胸糞悪い漫画が好きな人はぜひ読んでみて下さい。そして読んだらこの続きを読みましょう。

僕たちがやりました(1) (ヤングマガジンコミックス)

僕たちがやりました(1) (ヤングマガジンコミックス)

不満をタラタラ持ちながらも、その不満を持ちつつ「そこそこ」な人生を謳歌しようとしている高校生トビオ、不良に仲間がボコボコにされた仕返しに不良の学校に簡単な爆発物をいたずらで仕掛けるものの、ガスボンベに引火し、多くの死傷者を出してしまい、その後罪悪感を持ちつつ、自首も出来ずまま、さらに色々な騒動に巻き込まれる、そんな衝撃…アホみたいな展開の1巻から始まり、怒涛の勢いのまま今回の9巻で完結した。

結局のところ、パイセンは10年刑務所に勤め上げた後、お笑い芸人を目指し、奮闘。マル、伊佐美は「そこそこ」の生活を手に入れ人生を謳歌した。そして、トビオは罪悪感に苛まれつつ、蓮子と異なる女性と結ばれ、「そこそこ」の生活を手に入れた。

正直、パイセン、マル、伊佐美の三人は私の中ではモブだった。

不満を持ちつつ「そこそこ」の人生で満足しているトビオに、同じく「そこそこ」の人生で満足している自分を重ねつつ、トビオが重大事件を起こし、自分を責め、狂っていく様を見て、その「そこそこ」を飛び出していくトビオにちょっとした羨ましさを持ちつつ、「自分じゃなくて良かった」、「トビオザマァw」というトビオを笑う二面で漫画を読んでいた。

そんなトビオが9巻で、「そこそこ」を脱したい高校生に殺されそうになりつつも、事故にあった矢場高の元生徒と遭遇し、自殺しそうになるも、最終的には「そこそこ」な人生を謳歌しているトビオとして完結する、なんとも何もない、ロウソクの火がそっと消されたかのような、最後の読後までスッとしない終わり方だった。

糞野郎は糞野郎のまま死ぬというB級感が出て安っぽいが、読者的には読後もスッキリする終わり方だったと思う。が、トビオを生かすこと、トビオの罪が償われないことで、読者と同じ「そこそこ」を脱したトビオが再度読者と同じ「そこそこ」な空間に戻って来ることで、読後の気持ち悪さに拍車をかけているように感じた。

それが例えば、「アイアムアヒーロー」の英雄のように、一人で罪悪感に苛まれつつ生きる、という終わりであれば、単なる後味の悪い漫画、で終わった気がする。

この感じをドラマでぜひ出して欲しい。面白かった。

僕たちがやりました(9) (ヤングマガジンコミックス)

僕たちがやりました(9) (ヤングマガジンコミックス)