【ネタバレあり】それでも町は廻っている、それぞれのエピローグ

最終巻を読み終わった。

久しぶりに読み進めるのを躊躇う最終巻だった。SNSなどでそれ町の最終回を知り、待ちに待った単行本で、早く読みたい気持ちがあった。が、今までどおりのバラバラな時系列でかつ日常系を描いているが、各話各話が主要メンバーにフォーカスされており、かつ、転機を迎える話ばかりであり、それ町の終わりに近付く実感があった。正直もう10年ぐらい続けて廻ったまんまでいてくれよって思いながら、途中で15巻とか14巻とかを挟み読みしつつ、噛み締めながら読み終わった。

どの話も読む人読む人には最終回として読めそうだけど、自分の中では「至福の店フォーエバー」がそれ町の最終回なのかなと勝手に位置付けた。恐らく多くの人がそう感じるのでは。わからんけど。 シーサイドでダベってる歩鳥、タッツンペアの安心感を再度認識してしまった。シーサイド看板のメイド部分を引剥し、歩鳥とタッツンがシーサイドの看板を洗うシーンが泣けてしょうがなかった。正直なところ、抜け落ちてる部分もあるが、それ町の思い出が一気に蘇るようだった。ちょっと皆成長するけども、まだまだ皆変わらないし、物語は続いていくよ!みたいな有りがちな感じだけども、それ町でやられるとむっちゃ涙腺に来てしまう。 私も手ー乗せて「楽しかったです!!!」って言いたい。

後は「嵐と共に去りぬ」と「少女A」のセットか。日常SFという観点でみると「嵐と共に去りぬ」と「少女A」の初めの2ページで、歩鳥が自身を犠牲に今までの丸子商店街を守る、という最終話とも見れるんじゃないのかなぁと読み直して思った。カッコイイけど完全にSFチックである。「少女A」については雑誌で読んだら、これが最終回なのかぁ…と言ってしまいそうだった。あとがきに書いてある通り、時系列がバラバラだから、最終回じゃないんだよ!っていうのは分かるけども、読了感としてはどうなんだろう。

みたいなことを考えてエピローグに進むと「シャッフル都市」という「少女A」を補足するかのようなアンサーである。元々単行本にする際に追加する予定だったのか、「少女A」の評判へのアンサーなのか。「シャッフル都市」でアンサーを返しつつ、時系列として一番最後を持ってきて気持ち良い読了感を得させる、アメとムチみたいな追加エピソードと思った。「背中を追いかけてどーにかここまで来ました」好きな人に投げかけるような、「門石先生」とあるように尊敬する師に投げかけるような、静ねーちゃんの表情と相まって、しんみりしてしまう。 最後の1ページは外天楼の最終話を思い出しますな…。

ここで我らが紺先輩のことについて書いていなかったことに気付いた。デレッデレの紺先輩可愛すぎるだろ…これは最強の最終話やでぇ…。というのもあるけども、私の中での紺先輩の最終話は15巻の「立つ鳥」。友人みたいな先輩との別れと、いつも通りの落ちの安心さ!これは「至福の店フォーエバー」に近く、よりそれ町っぽいですね。

感動した要所要所の話を思い立ったまま書いてみた。皆感想なんだろうかなぁ。

廻覧板に何か全話の解説のってるみたいだけどもKindle版はいつ出るんだ…。